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お三味線の調弦基礎知識

お三味線の調弦(お調子合わせ)は難しいものとお感じになっていらっしゃいませんか?耳で音の高さを正確に聴き分けて美しく響くお調子を合わせるには、確かにある程度の熟練(と少しだけ才能も・・・)が必要ですが、少なくともチューナーを使ってできる範囲でしたら、しくみをご理解いただければすぐさま習得できる容易なものです。

そこでご一緒にお三味線のお調子合わせの整理整頓をしてみたいと思います。
お調子合わせに自信が持てると、お稽古がもっと楽しくなりますよ。

お三味線の調弦法

はじめに 基本になる一の糸(一番太い絃)の高さを決めましょう。
一の絃をこの音の高さ( 壱越442Hz)に合わせてください。
ビーンとよく響くサワリのついた音になりましたでしょうか?

では次に下の調弦表からお弾きになりたい曲のお調子を選んでクリックして下さい。
一の音、二の音、三の音の順番に二回ずつ実音が聴こえます。
ゆっくり流れますので、よく聴きながら同じ音に合わせましょう。
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音の高さ
本調子
D
G
D
二上り
D
A
D
三下り
D
G
C
六下り
D
G
A
水調子
A
D
A
※1 ここではA を442Hz とするピッチで調絃しています。
※2 表中の音名は便宜上KORG 社箏用チューナー「調べ」の表記に準拠しております。
ピッチのおはなし

これで基本的なお話は終わりなのですが、
もう少しお付き合いくださる方にはふたつめのカテゴリを補足するものとして、大勢の皆様でお合奏をする場合に識っておくと大変便利なピッチのおはなしをさせて下さい。

昔、音楽はひたすら感覚的な世界であったはずですが、現代では科学の力で音の世界もいろいろと解明されています。

そのひとつに周波数がございます。
音の高さの周波数を測り、それを数値で表現することが可能になりました。

周波数とは、1秒間に空気を振動させる音波の数といった感じで、
空気がゆるやかに振動して、音波の回数が少ないほど 低い音になります。

上の表にある「黄鐘」またはラの音の周波数は、だいたい440 ヘルツ(Hz)くらいです。
周波数が 増えると音は高くなります。
440Hz と880Hz のように1:2 で1 オクターブの違いとか申しますが、
こんなことはどうぞご放念ください。

 

さきほど「だいたい440Hz くらい」と申しましたのがとても肝心なところで、
『ピッチは状況で変化するもの・・・』
ということを是非ともよくご理解くださいませ。
例えば、次の映像のような尺八とのお合奏でしたら、
尺八を演奏される方にとって一番良い音の出るピッチに合わせるのが習わしです。 「ロ」の音などを ふぅぅ~♪っと鳴らしていただいてぴったり合う高さに合わせて調弦いたします。

気持ちのよい音のピッチは、楽器や演奏者や気候などによって変化します。
演奏なさるのがおひとりなら問題はないのですが、大勢いらっしゃる場合などには困ってしまいます。

そこで、
「今日は442Hz で調弦しましょう。」というお話が出てくることになるのです。
それはもう少し正確な言い方をすれば、
「今日は、ラの音を出すと毎秒442 回音波が繰り返されるピッチに合わせて調弦しましょう。」ということになりますね。

この『ラ』の音ですけれども、日本では1948 年にA(ラ)を440Hzとする国際標準ピッチを取り入れましたので、それ以来、放送などの音は440Hz を基準とされているはずと思います。
私の子供時代のお箏は今よりもう少し低く穏やかな響きが一般的だったのですが、ピッチが少し上がると音がより際立って聴こえるせいか、時代のお好みのせいか、標準的なピッチは時間とともに少しずつ上がってきているようです。私共のウェブ内の調弦も、最近の傾向に従って442Hzで行っております。

お手持ちのチューナーでピッチをあわせてみましょう。
チューナーもいろいろございますが、調弦がどうにも苦手という方にお薦めなのが、左画像のお箏専用チューナーです。クリップ式のチューニングマイクも揃えておかれると、がやがやした場所でもご自身の音が取れるので、スムーズにお調弦が出来ます。上手にご利用下さい。
KORG チューナー
「調べ」 箏用 WT-30K
KORG チューナー専用マイク
CM-200-WHBK
ピエゾクリップタイプ
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一般的なチューナーでは、キャリブレーションというボタンで調節ができるようになっています。
CALとかCALIB と書かれているのがそうです。

お調子合わせやピッチについて、ひととおりご理解いただけましたでしょうか。
次の「お三味線のお稽古曲」では古典の中からよく弾かれる曲をご紹介しております。
ぜひお好きな曲に挑戦してみましょう。