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■地唄_新娘道成寺

曲:新娘道成寺
演奏時間:12’27″(一部省略)
演奏者 -唄,三絃-
   小野真由美
   石田尚子
   井上祈美子
   大亀由紀

    -箏-
   安東洋子
   上田紀子
   白井伊知子

   羽田野逢山 (尺八)

クリックすると演奏が始まります。

歌詞

鐘に恨みは数々ござる
初夜の鐘を撞くときは、諸行無常と響くなり
後夜の鐘を撞くときは、是生滅法と響くなり
じん鐘の響きには、生滅めつい入相は寂滅為楽と響けども
聞いて驚く人もなし
亡き魂衣ほんにまあ
我は後生の雲晴れて、真如の月を眺め明かさん


恋のわけざと数へ数えりゃ
武士も道具を伏せ編み笠で
張りと意気地の吉原
花の都は歌で和らぐ敷島原よ
勤めする身は、誰と伏見の墨染
煩悩菩提の撞木町より、浪波四筋に通ひ木辻のかむろ達から
室の早咲き、それがほんに色じゃ、ひいふうみいよ
夜露雪の日しもの関路と共に此身を馴染重ねて
中は丸山只丸かれと
思い初めたが縁じゃえ。

曲目解説
19世紀はじめ(文化・文政の頃)に京都で活躍した石川勾当の作曲。安珍と清姫の道成寺伝説による謡曲の「道成寺」をもとに作られた「道成寺もの」のひとつでございます。
紀州愛子(まなこ)の庄司の娘、清姫が、熊野詣の途中に毎年この家に宿泊する山伏の安珍に片想いをして、末は夫と思い染めるのですが、修行中の安珍は驚いて逃げ出してしまいます。悲しみと怒りに身悶えする清姫は、日高川を渡って逃げた安珍の後を、自らは大蛇になって追いかけ、道成寺の鐘の中に隠れた安珍を焼き殺してしまう清姫のお話でございます。

『鐘には怨みがいろいろとある。初夜の鐘を撞く時は諸行無常と響き、後夜の鐘を撞く時は是生滅法、朝の鐘は生滅滅已、夕方の鐘は寂滅為楽と響く。自分も女性の五障の迷いが晴れて、真如の月が迷妄の雲を明るく照らすのを眺め明かそう。』

と始まる前唄に続きまして、手事を挟んだ後唄では、鞠唄や小唄、山尽し、廓尽し唄などを連ねて、縁語や掛詞をたくみに用いて廓情緒を歌っております。
「袖香炉」をお着物のお袖に入れて踊ったり舞ったりしながら、上品なお香の香りを辺りに漂わせるという見事な芸術品へと発展を遂げたそうでございます。

前唄に続く三下りの『云わず語らず我が心・・・』という部分は演奏時間の関係上、省略しております。
2005年10月、『大分県三曲協会』の定期演奏会にて、美緒野会の会員様方とご一緒に演奏させて頂いた時のものです。
楽器の音量に較べて、歌の音量が小さすぎる録音になっておりますので、お聴き苦しいかとも存じましたが、楽しい思い出がたくさん詰まったお舞台でございましたので、ここにご披露させていただきます。

さて、次を何を弾いて遊びましょ・・・。