地唄箏曲美緒野会

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美緒野会について

春の夜(箏曲手事物)

作曲
宮城道雄
作詞
土井晩翠
音源
時間 演奏者
春の夜 13’06”
  • 小野真由美 (箏本手)
  • 藤枝加奈子 (箏替)
曲目解説
  

   【歌詞】   

あるじは誰そや 白梅のかほりにむせぶ春の夜は
朧の月をたよりにて 忍び聴きけむ つまごとか

そのわくらはの手すさびに そぞろに酔えるひと心
かすかに洩れし灯火に 花の姿は照りしとか

たおりは果てじ花の枝 慣れし宿りの鳥鳴かん
朧の月の恨みより その夜くだちぬ春の雨

箏はむなしく音を絶えて 今はた忍ぶ彼ひとり
ああその夜半の梅が香を ああその夜半の月影を

雨水の候を迎えますと、梅のたよりが気にかかります。
今年は暖冬のせいでございましょう。梅もいつもより早く萌え出でたようでございます。宵の湯島天神にまいりましたら、白梅がはや芳しく匂いたっておりました。
白梅の懐かしい香りにつれてあるじは誰そや 白梅のかほりにむせぶ春の夜は・・・という土井晩翠の美しい詩につけられた優しいメロディーが浮かんでまいります。

宮城道雄が、京城(今のソウル)に住まわれていらした1913年(大正2年)に作曲なさいました。
お唄とお唄との間に、お箏の二部合奏が入っておりまして(手事と呼んでおります)手事の序(最初の短い手事)はしっとりとした春雨の描写、本手事(二番目の長い手事)は、物憂い春の雨の様子にうっとりいたします。

私事で恐縮でございますが、神楽坂でお世話になっておりました18歳の頃、ある日突然、お稽古をつけて下さるから今すぐにいらっしゃいというお電話を頂戴いたしまして、亡き宮城喜代子先生にお茶の間に呼んで頂いて、お習いしたのがこのお唄でございます。
すでに日暮れた神楽坂を急ぎ足に登ってまいりましたもので、お時間もちょうど宵の頃の二月でございましょう。中唄の『花の姿は・・・』というところを、「もっと有情に唄うように・・・」とおっしゃられて、何度も何度も唄って聴かせて下さいました喜代子先生の味のあるお声が、今でもしっかりと耳に残っております。今だに上手くは歌えませんが、私にとりましては思い出深い大切な曲でございます。

地唄は本来、お座敷唄でございますのでこうやってお稽古場で遊んで過ごしますのが、何と申しましても一番の醍醐味愉しさ、面白さは格別のものでございます。

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